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市民協働実感イベント『災害に強い街を作ろう』《3月26日》

 桜並木の膨らみかけた桜のつぼみも、少し縮こまってしまいそうな冷たい雨が降っていましたが、ルミエール府中で開催された、市民協働実感イベント『災害に強い街を作ろう』に参加してきました。
 イベントは2部構成で、第1部では、今年度(平成28年度)より発足した地域自主防災連絡会(市内に11か所ある文化センター圏域ごとに町内会や自治会、管理組合を対象とした市民での共助による助け合いを行ってゆくことを目的とした自主防災組織)で、協議された、「地域ごとの災害リスクを知ること、」や、「地域の特色による防災上の強みと弱みを検証する。」ということで文化センター圏域ごとでの検討成果が発表されました。
 第2部は、「女性と男性の視点から考える地域防災」というテーマで、浅野幸子氏(減災と男女共同参画研究推進センター共同代表)による基調講演が行われました。

 第1部では、各文化センター圏域の代表者によりそれぞれの地域の防災上の住民力の強みや弱みなどこれまで検討されてきた成果が発表され、各地域の特徴や課題が見えてきました。また、地域ごとの町内会の活動にも地域差が様々あるということもよくわかりました。町内会の活動が活発な地域は、やはり防災についての住民意識が高くなるということが実感されます。

 私(府中視協)として最も気になることは、障害者や高齢者の避難行動を円滑に進めてゆくために作成されている“避難行動時要支援者名簿(災害対策基本法第49条)”についての、自主防災組織における認識やその活用についてのことになります。
 また、避難所の開設や運営は、自主防災組織にゆだねられることになるため、避難場所や避難所における要配慮者への対応についてどのような取り組みをしてゆくのかということも気になることです。これらのことについては、このイベントが開催されるにあたって、市の防災機器管理課に事前に質問書を出してありました。今回のイベントでのスケジュール上、会場での質問対応はありませんでしたが、事前に回答書を受け取りました。これについては、項を改めて記載します。

 今回の成果発表では、いくつかの自治会が要援護者名簿の取り扱いについてや要配慮者(高齢者や障害者)へのアプローチについての課題を挙げていました。
 要援護者名簿については、個人情報保護の高い既定のために、扱いに困惑してしまうということや、高齢者や障害者がどのような配慮を必要としているのかということをもっと知りたいという意見もありました。

 要援護者名簿や、障害者や高齢者世帯の情報を持つ行政側(公助)の情報の秘匿義務と、その情報を基にした地域自主防災組織(共助)での情報共有についての認識のズレの様なものも感じました。
 このように、要援護者の名簿が作られたとしても、日頃からの防災対策として活用しにくいということから、やはり、最も大切なことは、災害弱者となりうる私たち当事者の方からも、普段の自治会活動(地域のお祭り、イベントなど)や、防災訓練などにも積極的に参加して、自分たちの存在をアピールしてゆくということも重要になるということが言えます。

 要援護者名簿や、要援護者への対応マニュアルを公助(行政側)で整えておく、または、公助に対して対策を求めてゆくということだけでは、これまで経験してきた大災害時に援護や支援を十分に受けることができないということは、明確になっています。このことから、共助(自主防災組織、地域の住民力)が重要な役割を持つということが改めて認識されています。公助の持つ情報を共助の方で共有するには、“個人情報保護”というボトルネックが存在する以上、災害弱者となりうる者も、受け身による支援の期待ではなく、自らも防災対策に参画してゆく心構えが必要であろうと思います。
 簡単に言えば、名簿からは、個人個人の顔は見えてきませんが、地域の自治体や町内会であれば、お互いに顔の見える関係を築くことができるということです。

 第2部では、男女共同参画という観点から防災対策を考えてゆくというテーマで基調講演が行われました。
 講演では、大災害時には、避難行動や救援活動、避難所の開設や運営に公助(行政や消防組織など)による公的支援よりも、地域住民による自主的な行動による支援(共助)の方が、より多くの命を救ってきたという事実を阪神・淡路大震災や東日本大震災での実例を交えながら、とても分かりやすく解説していただきました。
 そして、避難所の開設や運営を担う自主防災組織のリーダーが偏った思考(男性的偏見、官僚的な思考、忍耐、根性偏重主義など)に、なってしまうような避難所では、避難物資の不均等な配分や、、様々なストレスの万円、病気や災害関連死の多発など大きな問題が生じていた実例が挙げられていました。これは、リーダーが、普段の生活実感(炊事や洗濯、掃除、買い物、子育てや介護環境など)に、乏しいことにより、避難所の日常を把握しきれなくなってしまうことに原因があります。
 また、避難所生活での役割分担を、性差や年齢層だけで割り振ってしまうことも避難所生活をぎくしゃくさせてしまう要因になることもわかってきました。例えば、女性は炊事や炊き出しの準備に専念、男性は、防犯見回りや支援物資の管理などに専念すること、これは、一見すると合理的な役割分担とみられがちですが、これでは避難所運営が円滑に行えなくなってしまうという実例が挙げられていました。
 避難所における防犯対策担当者が男性だけの場合に、性的被害を受けた女性が訴え出にくくなってしまうということがあります(疑心暗鬼)。これは、防犯対策に女性も参加してゆくことで、女性や子供の安全につながってゆくということになります。また、支援物資を必要な人に必要な分だけ配分するには、日常的な物品のやりくりに長けた人たちを充てる必要があります(物資の滞留や不均等)。また、身体障碍などにより、日常での配慮が必要な者への対策については、看護や福祉の専門家でなくとも、当事者やその家族などの意見や工夫が最も役立ちます(要配慮者への環境改善)。

 このように、浅野先生のお話は、男女共同参画にとどまらず、あらゆる年齢層や障害当事者も含めて、個性や多様性を巻き込んで地域の自主防災を考えてゆく必要があると説かれていました。特に印象深かったことは、自主防災組織の構成者には、町内会の役員や消防団員にこだわらず、様々な個性(子育て中の母親、在宅介護を行っている人、身体障害の当事者、…など)年齢層(生徒会、学生など)が、参加して協議してゆくことが必要であるということでした。

 今回、私がこのイベントに参加した趣旨として、地域の自主防災対策において、障害者などの災害弱者となりうる者が置き去りになってしまうような協議のされ方になっていないかを確認しておきたかったということがあります。この点で、様々な個性を巻き込んでの防災対策協議の提言は、とても心強く感じました。

 障害者だからと言って、一方的に弱者とか被支援者と決め込んだり、決めつけられるのではなく、支援をして行く側に立つこともできるということは、防災だけでなく、障害者差別の解消や、自らの尊厳を保つという意味にもつながっているのだろうと思います。
 そういうことで、今日のイベントは、これまでにない有意義な話を聞くことができました。

<ブログ内関連記事>
イベントにあたり質問書とその回答書
指導者研修会「東京都の防災対策」より《11月7日》
カテゴリー:⑦ 視覚障害者と防災対策

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