記事一覧

視覚障害者への情報保障

 視覚障害者や、聴覚障害者は、眼に入る情報や耳に入る情報が全く無いか、大きく制限されてしまうということから、それらは、“情報障害者”であるともいえます。
 しかし、これらの情報取得の困難さは、発信される情報の需要先が視覚もしくは、聴覚だけに偏っているために起きている障害であると言い換えることもできます。つまり、音情報を視覚情報に、視覚に訴える情報は、音や触覚などに変換されることで情報を伝えてゆくことができるということです。
 回りくどくなりましたが、例えば、手話は、音声を視覚情報に変換する者であり、視覚情報を触覚情報に変換することとは、点字や、道路の点字ブロックなどが代表例です。信号機の誘導音や、公共施設の入り口や、駅の改札口などの誘導音も、視覚情報を音声情報に変換したものだといえます。
 また、ICTの発達により、テキスト化した文字を読み上げたり、音声をテキスト文字に変換することもできるようになり、視聴覚障碍者の情報取得手段は広がってきています。さらに、人工知能(Artificial Intelligence; AI)の進歩は、写真などの画像情報(被写体の判別や色彩、表情など)の説明を可能なものにしてゆくこととなるのだろうと思われます。

 情報保障とは、誰にでも等しく、わかりやすく情報を伝えるということです。視覚障害者への文字や文書情報伝達の方法は、点字という手段だけでは不十分です(点字を使いこなせる視覚障害者は、視覚障害者全体の1割程度と言われています。)。声(録音物)によるものもバリアフリー的情報保障として有効となるものです。
 また一方で、デジタル化された文書データなどは、パソコンなどでの読み上げ対応のアクセシビリティを考慮することにより、同一のもの(視覚障害者向けに別のものを作ることをしない。)を共有することができます。これは、ユニバーサルデザイン的情報保障ということができます。

 情報とは、文書情報だけではありません。外を歩くときや、電車やバスでの移動の時も見えない、見えにくいことで様々な情報の取得が困難になります。
 例えば、横断歩道を渡るときには、音声の誘導やエスコートゾーンのガイドが必要になります。また、バスや電車に乗るときには、行き先のアナウンスが必須です。行き先表示が出ているだけでは、どこに行くものなのかわからなくなります。また、ホームの誘導ブロックや警告ブロックなども、位置情報を知るための情報保障といえます。

 視聴覚障害などの情報障害者への情報保障は、一つの情報を様々な知覚伝達手段に変換したものをそれぞれ用意する場合と、一つの情報を何らかの機器を介して、その情報の伝達手段を必要な知覚情報に変換する方法がとられる場合の二つに大別することができます。
 前者は、聴覚障害者向けであれば、音声情報を手話や筆談など視覚に訴える者を用意することであり、視覚障害者においては、点字や録音物、点字ブロックや音声誘導装置などがそれにあたります。
 後者は、パソコンやタブレットなどのICT機器を用いて、音声を文字変換したり、スクリーンリーダーなどで文字を読み上げるなどユニバーサルデザイン的発想から生まれた新しい情報保障の在り方であるといえます。これは、従来の障害者向けに別のものを作り、提供するという発想から転換して、一つの情報源を同時に共有できるという、情報の伝達方法としてもより効率的であるといえます。
 ただし、現在の課題として、ICTを活用している視覚障害者は、まだ少数派です。とくに、中高年以降に視覚障害となった者には、ICTの導入への壁は厚いようです。その理由はそれぞれあると思われますが、情報障害による情報過疎は、障害当事者やその家族を含めた者の生活の質(QOL)の低下を招く危険性があります。技術や機器、用具があるだけでは、情報保障として不十分です。使える機器を手にして、それを使えるようにならなければ情報保障が成立したことにはなりません。
 視覚障害者が、日常生活の上で容易にICT機器の導入に踏み切ることができない理由の一つには、導入にかかる費用や、維持のための費用など経済的な理由も一つに挙げられます。福祉政策においては、このような“情報保障”の観点からもICT機器本体の日常生活用具の品目化や、利活用促進のための自立支援策を講じてゆくことを望んでいます。

<ブログ内関連記事>
見えない者の外出④(点字ブロック)
視覚障害者の読書
視覚障害とICT(Information and Communication Technology)
視覚障害者向けの日常生活用具
関連記事

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

fuchushikaku183

Author:fuchushikaku183
ヘルプカード(画像)

 私たちは、東京都府中市内に在住する、目が見えない、見えにくいという障害を持つ当事者とその家族、そして、様々なサポートをしていただいている方々で活動をしています。
 市内には、およそ500人余りの視覚障害者がいるとされています、その他にも、障害未満の“ロービジョン”の方々を含めると、その数はさらに増えることとなります。府中視覚障害者福祉協会(府中視協)は、府中市内で生活する、視覚障害者のQOL(quality  of life:生活の質)の向上と、障害への理解を深めていただくための活動、及び、障害を持つ当事者とその家族の親睦を図り、日常生活での悩みや困りごとを共有して、その解決を図るために会員相互で協力し合い、共助では、補いきれないようなことについては、市政や福祉に働きかけて私たちの暮らしに反映させてゆくことをモットーにしています。

 視覚障害とは、単に、目が見えない、見えにくいということだけではなく、そのことにより、日常生活や、就労、就学などにおいて、様々な制約や不利益など、社会的障壁によって生じることによる障害であるといえます。

 私たち府中視協は、日々の活動を通して“障害が有る無しに関わらず、誰もがいつまでも安心して暮らし続けられるまちづくり”を、市民の皆様とともに、進めてゆきたいと思っています。
 もし、あなたの身近に、目が見えにくい、見えないことで悩んだり、困っているような方がいらっしゃいましたら、お声掛けをしていただき、私たち府中視協のことをお伝えください、また、私達とともに活動をしてみませんか?

 府中視協では、障害当事者やそのご家族で会員として一緒に活動したい方、ならびに一緒に活動を手伝っていただけるボランティアさんを募っています。
 バス旅行や、市内の歴史散策、盲卓球体験会など親睦行事のほか、視覚障害の理解をより深めるための講演会や、日常生活をより便利にするための講習会などを行っています。

 このブログでは、こうした活動の報告や、視覚障害をより知っていただけるような記事を綴ってゆきたいと思っています。