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ノーマライゼーション(normalization)


 障害のある物を排除、隔離するのではなく、障害が有っても、健常者と等しく当たり前に、生活できる社会が、普通の社会であり、それを実現してゆくための取り組みを、“ノーマライゼーション”と言います。
 近頃では、“等生化”とも訳されるようにもなって、誰もが等しく生きられる社会の実現という概念をわかりやすく説明されるようになってきました。

★ノーマライゼーションの概念の始まり、★
 1950年代の半ばにデンマークのバンク-ミケルセン氏が、提唱したもので、障害者施設(コロニー)に、収容されている障害者に対する非人道的な扱いを是正するために、「どのような障害があろうと一般の市民と同等の生活と権利が保証されなければならない」として、1959年にデンマークで法制化されたことに始まり、そののちに、この考え方は、ヨーロッパ全体に広がり、その後、スウェーデンのベングト・ニィリエ氏が、ノーマライゼーションの原理を体系化し、障害者福祉の概念として、定義づけられるようになりました。
それによれば、「ノーマライゼーションの原理とは、生活環境や彼らの地域生活が可能な限り通常のものと近いか、あるいは、全く同じになるように、生活様式や日常生活の状態を、全ての知的障害や他の障害を持っている人々に適した形で、正しく適用することを意味している」と、定義しています。

 日本においては、1946年に戦災孤児や、障害者(児)を、収容し教育するための近江学園を創立した、糸賀一雄氏(1914年~1968年)による、「この子らを世の光に」という考え方が原点にあるのではと思われます。
 それは、

「この子らはどんなに重い障害を持っていても、だれととりかえることもできない個性的な自己実現をしているものなのである。人間と生まれて、その人なりの人間となっていくのである。その自己実現こそが創造であり、生産である。私たちのねがいは、重症の障害を持った子供達も立派な生産者であるということを、認めあえる社会をつくろうということである。『この子らに世の光を』あててやろうというあわれみの政策を求めているのではなく、この子らが自らが輝く存在そのものであるから、いよいよみがきをかけて輝かそうというのである。『この子らを世の光に』である」


という糸賀氏の新年です。
 障害を障害としてとらえ、それを矯正して社会に当てはめる、または、保護の名のもとに福祉を施し社会から隔離するのではなく、障害を個性としてとらえ、それを生かして生きてゆくことができる社会を実現するために奔走されてきました。

★障害を個性として許容できる社会へ★
 今年(2016年)、7月26日未明に発生した、相模原市の津久井やまゆり園での痛ましい事件[津久井やまゆり園で発生した事件について(神奈川県ホームページ)参照]は、障害を持つ者だけでなく多くの人に衝撃を与えるものでした。「障害者はいらない」という、身勝手極まりない思想による犯行動機は、ノーマライゼーションの理想を踏みにじるものであり、全く受け入れられるものではありません。
 障害をその人の個性として受け入れることができる寛容な社会が求められています。社会としての寛容さとは、障害者への差別的意識をなくしてゆく“心のバリアフリー”だけではなく、社会保障の充実や、柔軟性のある社会保障制度の運用も、重要な要素になると思われます。社会福祉には財政負担も伴いますが、これを生産性や、費用対効果のものさしで計り、経済原理のはかりにかけるようなことは、果たして寛容な社会なのでしょうか。そして、社会保障を人質にとる様な税制改革は、誰のための改革となるのでしょうか。
 「障害が有っても、健常者と等しく当たり前に、生活できる社会」を実現するためには、障害者を社会の一員として、受け入れてゆくという“心のバリアフリー(無償の福祉)”だけでは、成り立ってゆきません。しっかりとした社会保障の基盤が整わなければ、支援を提供する人も、支援を受ける人も、共に生きてゆくことができなくなってしまいます。
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